古くから語り継がれてきたイギリス民謡の英雄であるロビン・フッドとして、ジョナスは、悪名高きノッティンガムの代官一味を相手に戦いを繰り広げ、数々のアクションシーンの中で、火花を散らすような剣と剣との戦いや、目を見張るほどの弓術を披露する。わずか1週間という撮影準備期間の中、これほどの技を披露できたのは、RADA王立演劇アカデミー時代に取ったコンバットクラスのおかげであろう。
ジョナス
「別の撮影のためインドに滞在していたときに、ロビン役決定の知らせを聞いたんだ」
ロビン・フッドの配役オーディションは、インドへの出発が数日後に控えていたため、受けずにいようかと考えていたことも明かしてくれた。たとえ受けても、受かるはずがないと思っていたジョナスだが、エージェントに説得され、オーディション会場へと向かった。結果、そんなジョナスの無欲さが功を奏す。
ジョナス
「今までにもいくつかのオーディションを受けてきたけど、あの時が1番緊張しなかった。きっとそれがよかったんだろうね。プレッシャーを感じずにリラックスしてオーディションに臨むことができた。ロビン役に選ばれたと知り、驚いて舞いあがってしまったよ。だって、誰もが知り誰もが愛する、かの有名なロビン・フッドの役なんだからね。」
こうしてドラマへの出演が決まった。撮影に向け多少のトレーニング時間は確保できたものの、インドでの撮影が忙しく、弓や剣の技術を磨く時間が十分には取れなかった。
ジョナス
「ジムには毎日通ったよ。もともと僕はきゃしゃな体つきだから、とにかく食べる量を増やして、ジムやスイミングに通ったんだ。『ロビン・フッド』のロケ地ブダペストに到着したのは、撮影のわずか1週間前だった。それから毎日のように馬に乗り、弓や剣を使った戦いや素手による戦いの練習をした。大変だったよ。そして1週間後、実際の撮影が始まるとスタッフが僕に剣を渡してこう言うんだ。『さあ、キメてこい!』ってね。」
剣といってもよくある普通の剣ではない。ジョナスは説明する。
ジョナス
「中東の“サラセンの剣”という刀で、これを使って戦うには特別な剣のさばき方を知る必要があるんだ。今回の撮影で、剣の扱いがだいぶうまくなったよ。」
アイルランドに生まれ、イングランドのランカシャー州セント・アンズで育った25歳(2006年現在)の成年は、騎手としての腕前もあげた。
ジョナス
「弓を片手に馬にまたがり、そして声をあげて疾走するあの感覚がたまらなく心地いいんだ。本当に楽しいし最高の気分になれるよ。馬に乗る機会が増えたので、手綱をプレゼントしてもらったんだ。僕の乗馬の練習時間も増え、スタッフも僕の行動をより注意深く見守るようになった。キャストの中で僕だけが、馬を全速力で走らせることができたんだ。」
まさにロビンというヒーローだけに与えられた特権であろう。しかし、“貧しい者のために金持ちから盗みを働く”という設定の今回の物語では、ロビンは必ずしも正しい行動を取るキャラクターに描かれているわけではない。
ジョナス
「ロビンは完璧ではないし、彼の性格にだって欠点はある。ロビンは単なる世間知らずな空想主義者ではなく、乱暴な面もあるし、性格にも改善点がある。時には道を踏み外し、自身の利益や都合を優先させてしまうこともある。そしてそんな性格が災いして、仲間たちとの関係にもヒビが入ってしまう。横柄でうぬぼれの強い部分もあり、自己中心的になることもあるさ。だけど本質的には、道理にかない、善良で熱意に満ちた人間なんだ。」
ジョナスはこれまでに、テレビドラマ『Teachers』の生徒アンソニー役、そして刑事ドラマ『Ghost Squad』のスリルマニアであるピート役などを演じてきた。そして今回、ロビン役を演じることになり、完璧とは言い難い性格の持ち主ロビンについて、“弱点があるからこそ面白味のあるキャラクターなんだ”と、愛着を示す。
ジョナス
「ロビンだって人間なんだし、邪悪な一面はある。ヒーローなんだから、威勢がよくて、向こう見ずな性格でなくてはならないと思っている人は多いかもしれない。確かにロビンにもそういう部分はある。でもそれだけじゃない。今回のドラマを通じ、そんなロビンの多面性を視聴者に伝えたかったんだ。今までにもロビン・フッドを題材にした作品は多く作られているけど、そこが、正真正銘の“ヒーロー”だった今までのロビン・フッドとの違いだと思う。」
そしてもうひとつ、今回のドラマの特徴としてあげられるのが、ロビンに女たらしな一面があるという点だ。
ジョナス
「ロビンは自分のことを女性の扱いがうまい男だと思ってる。マリアンはロビンの本当の姿を見抜いている。その証拠に、第1話ではこんなマリアンのセリフが出てくる。『あれから7年もたっているのに、あなたは相変わらず同じ言い訳を押しつけようとするのね。そんなうわべだけのやり方が通用すると思っているの?』。ロビンは、うまくマリアンの気を引くことができず、冷えた2人の関係を修復できずにいたんだ。」
マリアンは、リチャード王と戦うために自分の元を去っていったロビンを許せずにいた。
ジョナス
「2人は恋人同士だったのに、ある時ロビンはマリアンの元を離れ、王と一緒に戦いの場である聖地に向かってしまった。ロビンの決断にマリアンが腹を立てたのは明らかだ。ロビンはマリアンと一緒に過ごすことよりも、戦いに勝ち栄光を手にすることを選んだのだからね。ロビンは、戦いを終え故郷に戻れば、昔と同じようにマリアンを抱きしめることができると思っていた。しかし、現実はそう甘くはなく、ロビンの思い通りにはならなかった。僕は逆にそうなってよかったと思ってるんだ。ロビンにとっては自らの考えを改め、マリアンへの態度を改善するきっかけになったからね。」
今回、ストーリーのいたるところに恋愛的要素が織り込まれている。恋愛について描かれた部分が1番のお気に入りのシーンだとジョナスも言う。
ジョナス
「この物語はラブストーリーだよ」と言って、ジョナスは譲らない。
「もちろん、善と悪、専制君主の代官と英雄のロビンの戦いを描いた作品でもあるし、戦いのシーンで繰り広げられるスタントなど、見ごたえあるアクションシーンがシリーズ中に盛り込まれている。だけど、ギズボーンのガイ、マリアン、そしてロビンの三角関係は、この物語の中で最も注目すべき点だし、僕にとっても1番の演じどころだと思ってる。」
“英雄か悪党か”という選択は、一見それほど難しそうではないが、マリアンにとっては単純な問題でなかった。
ジョナス
「ギズボーンは資産家で安定性があり、結婚相手として申し分ない。ロビンもギズボーンのような富を手に入れるチャンスはあった。だが、彼は十字軍の遠征から戻ると自ら森の無法者になることを決意してしまったんだ。確かにギズボーンは裕福かもしれない。でも、ギズボーンにはない何かがロビンにはある。視聴者のみなさんにも是非そのことを感じ取ってもらいたい。ロビンの魅力でもあるその“何か”とはきっと、マリアンと共に分かち合うことのできる興奮や感動であると思うし、もちろんマリアンに対する愛でもある。マリアンはギズボーンを愛してなんかいない。単なる稼ぎ手くらいにしか思ってないんだ。」
物語の時代背景を考えると、実際、マリアンに結婚相手を選択する自由はほとんどなかったであろう。物事の決定権はすべて男性にあった時代である。しかし、観客がより楽しめるようにと、伝説の物語は現代向けに書き換えられた。作品を紹介してくれるジョナス自身からも、どこか今どきの雰囲気が漂う。それに、現代的な香りは、ジョナスもお気に入りの“ごろつきロビン”という、本作につけられたあだ名からも伺える。
ジョナス
「みんなこのあだ名について、色々と話しているけど、僕はフードをかぶったロビン・フッドを見た時点でピッタリのあだ名だと思ったよ。ロビンの名前“フッド”と“フード”は言葉も似てるしね。ロビンには、フードをかぶった変装姿がお似合いだって以前から思っていたんだ。」
今回のドラマの影響で、無法者の立場が世間から支持され、人気を博してしまうかもしれないが、幸いロビンの毒気のある装いはまだトレンドの一部としては見なされてはいない。
ジョナス
「ロビンは無法者なんだっていうことを、みんな忘れないでほしいな。」
ジョナスは目を輝かせながら、そう言った。
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