ルーシー・グリフィスは『ロビン・フッド』に出演が決まったと知ったとき、誰もが予想しなかった反応を示した。
ルーシー
「なんかヘンな感じだったわ。『Pop Idol』とか『Pop Stars』といった、歌手デビューを狙ったオーディション番組をテレビでよく見ていたけど、出演者は受賞が決まった瞬間、叫びながら驚くでしょ?だけど、私の場合はすごく冷静だった。きっとショック状態に近かったのね。しばらくして、“『ロビン・フッド』に出演が決まった”と友達に連絡しているうちに、ようやく実感がわいてきて興奮してきたの。」
19歳(2006年現在)のルーシーは、テレビ業界ではまだまだ新人だ。これまでにも、ドラマ『Sea of Souls』や『Sugar Rush』に小さな役で出演はしていたものの、主役クラスとしては今回初めてマリアン役に抜擢された。美しく知的で、誇り高く、そして負けん気の強いマリアンは、優秀な女剣士。気が利き忠実な女性だが、ロビンが十字軍の戦いに参加するために自分の元を去っていったことに腹を立てる。数年後、ロビンが遠征から戻ってきても、純粋に快くロビンを迎え入れることができずにいた。
ルーシー
「ロビンからひどい扱いを受けたと思っているのよ。だから、ロビンが故郷に戻ってきても、マリアンはロビンをすぐには許せずにいたのね。ロビンは何度もマリアンの気を引こうと、愛きょうよくしてみたり、あつかましい態度をとってみたり、そして時には真のロマンチストに徹してみたりするの。でも基本的には、ロビンはまだまだ幼い10代の少年と何も変わらない未熟者ね。ストーリーが進み、マリアンとロビンの間に邪魔者が入るようになると、2人の関係はより深刻な問題を抱え始め、ついには運命の瞬間を迎える。でも、物語の初めのころは、マリアンは明らかにロビンに対して不満を抱いていたの。」
ルーシーは初めから、ロビン・フッドの伝説に詳しかったわけではない。今回の撮影にあたり、ディズニー映画の『ロビン・フッド』から役作りのヒントを得たと明かしてくれた。
ルーシー
「テレビドラマ『Maid Marian and Her Merry Men』は小さいころに見たわ。だけど、それ以外はさっぱり。私はロビン・フッドと共に育った世代ではないの。」
『ロビン・フッド』は、1980年代に放送された『Robin of Sherwood』を始めとするかつての物語とは少々内容が違う。今回のマリアンは、より現代的な女性に描かれている。そして、かつては“メイド・マリアン”と呼ばれていたが、今回は単に“マリアン”だけ。
ルーシー
「メイド・マリアンは、決して弱い女性ではなかった。でも今回のマリアンの方が身体的能力も高く、村民を守るため自ら戦いに出かけたりするの。とても真の強い女性よ。もちろんマリアンはロビンのことを心から愛しているけれど、彼女の強さがあれば、たとえロビンなしでも生きていけるような気がするわ。」
マリアンは日が暮れると夜警に扮し、貧しい人々を助けるため活動する。ルーシーはドラマの撮影期間中ほとんどの間、仮面やフード、そしてよろいの胸当てを身につけて過ごした。
ルーシー
「中にはとても分厚くて重い衣装もあったわ。それに、厚いマントも羽織らなくてはならなくて、夏の間は大変だった。だけど、逆に冬になると防寒になって快適だった。マリアンの衣装は、私が想像していたよりも丈が長めで上品な装いばかりだったから、少し驚いたわ。ズボンにブーツ、そしてレザージャケットなんていうラフな私の格好とは大違いね」
物語中、マリアン、ロビン、そしてガイとの間で恋の三角関係が生まれる。マリアンにとって、英雄か悪者かの選択は簡単な決断ではなかった。
ルーシー
「ロビンとガイが、マリアンをめぐって争うの。ガイは安心感と安定性を備えた人間。そして、ロビンはロマンスと愛を与えてくれる男性。もしマリアンがガイを選んだら、彼女はきっと家や土地を手に入れ、生活上の安全や社会的地位の保障が約束される。でも、もしロビンを選んだら、マリアンはおそらくロビンや彼の友達と一緒に1日中森の中を駆け回ることになるでしょうね。それがマリアンの立たされた立場。マリアンは2人のうちどちらかを選ばなくてはならないの。」
そして他の共演者たち同様、マリアンは役作りの一環として、ロケ地ブダペストにある“フッド・アカデミー”という特別訓練コースに参加した。
「撮影が始まる2週間前に現地入りをしたの。そこで弓矢や乗馬、そして剣を使っての戦い方を教わったわ。とても楽しかった!男性はみんな、各競技で誰が1番うまいかって競争を始めるし、見ていて本当におもしろかった。」
撮影はハンガリーのフォットという場所で行われた。家族と6ヵ月も離れて暮らすことに、当初戸惑いを隠せなかったが、いい共演者やスタッフに恵まれ、乗り切ることができたとルーシーは言う。
ルーシー
「楽しい仲間に出会えたからいい仕事ができたのだと思う。若くて才能にあふれ、そしてユーモアに富んだたくさんの共演者たちが、この仕事をすごく楽しいものにしてくれたの。いい仲間に巡り会っていなければ、とてもつらい半年間になっているところだったわ。だって6ヵ月もの間、家から離れて暮らさなければいけないし、毎週末実家に帰れるわけじゃないでしょ。キャストやスタッフのみんなといい関係が築けなかったら、最悪の環境になりかねなかった。共演者のみんなは私よりずっと経験豊かな俳優さんたちばかりで、みんなの撮影を見ているだけでも演技の勉強になったわ。幸せなことね。」
撮影終了後、ルーシーは自分の演技をテレビで見ることで、自信が持てるようになったとルーシーは言う。
ルーシー
「自分がテレビに映っているところを見るのを嫌がる人もいるわよね。私も最初はそうだった。だって、私が想像している自分の姿と、実際に画面に映っている姿って全然違うんだもの。それにテレビから流れてくる声も私の声のように聞こえないしね。だから最初はとても違和感があったわ。だけど、自分の演技を見直すことで多くを学べるから、今は何の抵抗もないの。」
「こんなに長時間仕事をしていて、自分の仕事の成果を実際にこの目で見なかったら、きっと“私の仕事って何だろう”と不安に思うだろうし、やる気もなくなると思う。それに、私は演技を専門的に勉強してきたわけではないから、仕事をしながら色々なことを学び、覚えていかないとね。現場で学ぶの。勉強になるわ。」
共演者たちと、約半年という長い間一緒に仕事をしてきたことを、ルーシーはどう思っているのだろうか。
ルーシー
「初対面の方ばかりだったけど、みんな人と打ち解けるのがとてもうまい人ばかり。彼らは最高よ!お互いの共通の知り合いがいると分かったりして、芝居の世界って本当に狭いのだと思った。だから俳優って、よけいに仲間意識を高く持つのかしら。それに、半年間もブダペストにいるのだから、早く仲良くなって家族のような付き合いをしたほうが得策よね。」
実際、ルーシーはロビンと森の仲間たちと共に、中世の世界に生きてみたいと思うのだろうか。
ルーシー
「時々ならいいかしら。でも、本当に長く暮らしてみたい時代は、1930年代から50年代ね。中世に生きる自分をあまり想像したことがないの。もしかしたら気に入るかもしれないけど、正直あまり引かれないわ。」
もし、マリアンに会うことができるなら、ルーシーはマリアンに一体何と言うのだろうか。
ルーシー
「“これからもがんばって”かしら」
ルーシーは笑いながらそう答えた。
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